食べ物と汽車が好きな人のための書評

名作の中の食べ物、作家が好きな食べ物と旅を追って、本の森を歩こう

中落合 中太郎
(C)Chutaro.Nakaochiai
「ある日系人の肖像」著者ニーナ・ルヴォワルについて思うこと--Southland,Author Nina.Revoyr
評価:
Nina Revoyr
Akashic Books
¥ 1,227
(2003-03)

評価:
Nina Revoyr
Akashic Books
¥ 1,613
(2011-02-08)

< 日本人の母とポーランド系米人の父>

ニーナ・ルヴォワルというカタカナから私はフランス系のアメリカ人を想像したが、父はポーランド系アメリカ人で母は日本人である。

 <東京からウィスコンシンの小さな村へ>
東京で生まれ、5歳まで東京と京都で暮らしたあと、ウィスコンシン州の小さな町に移った。日本では外人として見られ、ウィスコンシンではたった一人のアジア系非白人という経験をした。
9歳の時ロサンゼルスに引っ越して「生まれて初めて疎外感から解放」された、と「ある日本人の肖像」日本版へのまえがきに書いている。


<新作Wingshooterは自伝?>

2011年3月に新作"Wingshooter"を発表した。ニーナ・ルヴォワルのサイトから荒っぽく和訳したあらすじはこうだ。

主人公ミシェルの母は日本人。日本で生まれたがウィスコンシンの村で父方の祖父母と暮らすことになった。ハンターでありかつてマイナーリーグでプレーしたこともある。村で最も尊敬される人物だ。
祖父は息子の結婚に反対だった。しかし、その孫にはメロメロだった。

ミシェール(Wingshootersの主人公)の父はジャーナリストらしい。’64年の東京オリンピックのとき放送にたずさわったり、新聞に原稿を書いた。母は日本生まれの日本育ちの日本人。ウィスコンシン州マディソンの大学に留学していたとき、父と出会った。

ウィスコンシン州というと…。今調べたのだがミルウォーキーとグリーンベイがある。つまりBrewers(野茂がいた)とPackers(今年のスーパーボウル覇者)か。


そのあとどうなったのか読んでないが、60年代に日本で暮らし、ミシェールが生まれ、70年代ミシェールはウィスコンシンの片田舎どころか大田舎で暮らすことになった。

70年代、ベトナム戦争は継続中である。第二次大戦、朝鮮戦争の退役軍人は働き盛りだ。

The Brooklynrailという書評サイトにwingshootersの抜粋が載っている。Wingshootersへの興味をそそられる内容だ。と、同時に著者Ninaのbiographyにある、東京と京都で暮らした後ウィスコンシン州の小さな村での著者の暮らしが本書と重なるような気がする。

<日本生まれの少女のアメリカの田舎暮らし>

それがどんなものだったか、わかる一部を抜粋する。

“Your daddy’s a Jap-lover!” a girl hissed behind me.
“Yeah,” said her friend, “I heard her mama’s a geisha whore.”

“That can’t be,” said the first girl. “’Cos geishas are pretty. And Michelle’s butt-ugly—just look at her.”

I didn’t reply—I never replied—and fought the urge to turn and face them. After I got my books, I walked quickly to class and kept my eyes trained on the floor.

この前後を見たい方は下記のサイトにアクセスしてください。

http://www.brooklynrail.org/2011/02/express/from-nina-revoyrs-wingshooters

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| 中落合中太郎 | ニーナ・ルヴォワル | 22:41 | comments(0) | - | pookmark |
’94年ロサンゼルス郊外で死んだ日系二世の老人は遺族の知らない少年に遺産を残した。その少年を探すうち老人の秘密が明らかになっていく−「ある日系人の肖像」ニーナ・ルヴォワル
 <ミステリーとして>
扶桑社ミステリー文庫である。
日系人差別と黒人暴動と重い背景が横たわるがミステリーとして、おもしろい。

あらすじに書いてしまったが殺人の容疑者は白人警官ニック・ローソンである。被害者の従弟であるジェームス・ラニアーがローソンに動かぬ証拠を突きつけられるか。

「刑事コロンボ」(彼もロサンゼルス警察の警部だなあ)スタイルのストーリー展開!ふふふ。そのほかにも秘密はあるのだ。

<ミステリー好きでないひとも読んでほしい>

「ある日系人の肖像」という標題でなかったら、ミステリーアレルギーの中太郎は読まなかったろう。

中太郎の神さんの親戚がカリフォルニアにいることはこのブログに書いた。「カリフォルニアご親戚訪問記」というカテゴリーである。お気楽な話である。

山崎豊子さんの作品で松本幸四郎さん主演で大河ドラマになった「二つの祖国」は衝撃的であった
がその日系人の歴史が身内のものになったのだ。

しかし、収容所や戦後の日系人のことなど親戚にはとても聞けない。それを私はこの作品で知ろうとした。

<日系アメリカ人の歴史を思い知った>
強制収容の前に何があったか。
二世は収容所のことをなぜ三世や四世に話さないのか。

パット・モリタは「日本語はわかるが話すことはできない」となぜ言ったのか。
リトルトーキョーやサンフランシスコのジャパンタウンになぜ日系人が少ないのか
「二つの祖国」はなぜ日系人に非難されたのか。

だいたいわかるよ。


あらすじ(結末は書かないが意外な結末だ。)

<日系二世フランク・サカイの遺書と孫のジャッキー>
1994年ロサンゼルス郊外、カルバーシティで日系2世のフランク・サカイが死んだ。検認される正規の遺書とは別に遺品の中から3万8千ドルの現金と1964年に書いた遺書らしきメモが出てきた。

そこにはブライアント通り3,601番地の店はカーティス・マーティンディルに遺贈する、と書いてあった。

フランクの次女ロイス・サカイが調べたところ、カーティス・マーティンディルはロサンゼルス郡には今いない。ロイスはカーティスを捜してほしい、と姪のジャッキー・イシダに頼んだ。

ジャッキーはロイスの姉の娘である。スタンフォード大学を卒業してUCLAのロー・スクールの3年生。学位をとれば弁護士だ。

ジャッキーはこの仕事を引き受けた。まず、祖父フランクの葬儀の会葬者にあたった。そこから祖父の意外な側面が見えてくる。

<いとこを殺した容疑者を追う黒人男性ジェームス・ラニアー>

もう一人の重要人物が黒人の中年男性ジェームス・ラニアーだ。彼はカリフォルニア州立大学を卒業してロサンゼルスの公民館の職員をしている。、彼は1965年に起きたワッツ暴動(Watts Riot)でいとこが白人警官に殺されたと信じていた。証拠を集めて元警官ニック・ローソンを起訴に持ち込もうと執念を燃やしていた。

ストーリーは日系3世の弁護士の卵ジャッキーと黒人公務員ジム・ラニアーの二人を中心に展開する。

強制収容などの日系人差別、黒人への永年の迫害と公民権運動。ストーリーの背景にはこれらが黒々と描かれる。


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| 中落合中太郎 | ニーナ・ルヴォワル | 08:04 | comments(0) | - | pookmark |
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