食べ物と汽車が好きな人のための書評

名作の中の食べ物、作家が好きな食べ物と旅を追って、本の森を歩こう

中落合 中太郎
(C)Chutaro.Nakaochiai
池波正太郎の原発―『日曜日の万年筆』
JUGEMテーマ:原発
 池波正太郎は「鬼平犯科帳」「仕掛け人梅安」「剣客商売」などの作者でテレビ化、映画化されているから作品に触れた人は数多いだろう。

池波先生はグルメで「日曜日の万年筆」にもたいめいけんの話や「花ぶさ」などお気に入りの店の随想がふんだんに出てくる。

池波さんは浅草の生まれで子供時代のなつかしい食い物のはなしがある。曾祖母、父親などに連れられて行った蕎麦屋。池波少年はカレー南蛮が好きだった「蕎麦」。

尋常小学校を卒業して、株屋に奉公。兜町の株式仲買店で働きながら、当時、新川にあったたいめいけんや「資生堂」に通った話。

鬼平や秋山小兵衛も大好きだが、池波さんのグルメ随筆も大好きだ。

そんな「日曜日の万年筆」に「原子炉の核が露出」とか「ウランと死の灰は二万五千年もの間、四方に放射能をまき散らし続ける」などという文言があった。

映画にも造詣が深かった池波さん。マイケル・ダグラス制作、ジェーン・フォンダ主演の「チャイナ・シンドローム」について書いている。

テレビ局の女性キャスター(ジェーン・フォンダ)が原子力発電所の取材中に事故が発生する。原子炉が故障し放射能が漏れ始めたのだ。カメラマンはその制御室の混乱を隠しカメラで撮影してしまう。

「企業と政治と陰謀と妨害が恐るべき原子炉の故障を押し隠し、強引に再開に踏み切ろうとするのである」(日曜日の万年筆)

池波さんは言う
「体面と営利を維持するがためには、善良な市民を殺害して恥じぬ」

「日曜日の万年筆」は昭和54年(1979)に毎日新聞の日曜版に連載された。

それから32年。まさに「体面と営利を維持するがため」、「企業と政治」は強引に再開に踏み切ろうとうごいているではないか。

私は毎日新聞のこの随想を読んでいた。後に単行本も買ってい、愛読したのだが、いつか失くしていた。池波さんの原発への鋭い指摘は読んだ記憶がない。

たまたま先月、「完本池波正太郎大成」を繰っていて気が付いた。

さらに引用する。

「近代の人類は、人類が棲む惑星のエネルギーをむさぼり喰らい、惑星の警告を無視して無茶苦茶に突進しつつあるかのように見える」

「こうなっては、もう引き返せない」
 
気づいた以上、私は引き返したい。

| 中落合中太郎 | 池波正太郎 | 10:22 | comments(0) | - | pookmark |
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