食べ物と汽車が好きな人のための書評

名作の中の食べ物、作家が好きな食べ物と旅を追って、本の森を歩こう

中落合 中太郎
(C)Chutaro.Nakaochiai
日本はリオデジャネイロ・オリンピックを応援しよう!−日系一世の人たちのために南米初めてのオリンピックを!―『祖国へ、熱き心を』by高杉良
<フジヤマのトビウオ古橋をバックアップした男、フレッド・勇・和田> 
古橋広之進さんが亡くなった。敗戦国ゆえに1948年のロンドン・オリンピックにエントリーできなかった日本は、オリンピックの水泳競技と同時刻に明治神宮プールで競技会を開催し、世界記録を連発した。
 
 
明治神宮プール跡
現在は、スケート場、フットサル、アスレチックなどの施設になっている。

 翌1949年、古橋、橋爪らは、ロサンゼルスの全米水泳選手権に招待され、世界記録を塗り替え、フジヤマのトビウオの異名をもらった。

 1949年(昭和24年)の日本はアメリカ軍の占領下にあり、外貨もままならない。スポーツのための金などありはしなかった。それをバックアップしたのがロサンゼルスの日系人たちだった。


 フレッド・勇・和田さんもそのひとりだった。最初、選手団は数戸に分宿の予定だったが、「全員一緒のほうが心休まるだろう」と選手と清川監督ら全員を邸宅に泊めた。彼らのために日本人のコックを北カリフォルニアのバークレーから雇い入れるという力のいれようだった。

 古橋、橋爪らはベッドで眠り、ステーキやベーコンエッグに味噌汁、バナナ、コメの飯という和洋折衷のご馳走を3食食べ、和田夫妻や子供たちと日本語でくつろぐ、という夢にも思わなかった環境で練習や競技に向かうことができた。

 和田さんは、つきっきりで日本選手団の世話をした。が、毎朝、暗いうちに出かけ、野菜の仕入れをしていた。大邸宅のローンは沢山残っていた。悠々自適のビジネスオーナーではなく現役の中小企業の社長さんだった。


祖国へ、熱き心を―東京にオリンピックを呼んだ男 (講談社文庫)
祖国へ、熱き心を―東京にオリンピックを呼んだ男 (講談社文庫)
高杉 良


 和田さんは、スコーバレーの冬季オリンピック、メキシコオリンピックの選手団のサポートなど、その後も日本選手のバックアップを続けた。

<東京オリンピック招致特使>
東京にオリンピックを呼んだ男 
そんな和田さんにとんでもない仕事の依頼が舞い込んだ。東京オリンピック招致のためにラテンアメリカ諸国のIOC委員の票を獲得してほしいというんだ。


国立霞ヶ丘競技場に立つクーベルタン男爵の碑。

和田さんは夫人とともに、身銭を切ってメキシコ、ヴェネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、パナマ、戒厳令下のキューバなどラテンアメリカ諸国を駆け回った。1950年代の飛行機は不安定で命をなくしかけたこともあった。

 和田さんは、票集めだけではなく、最後の一押しに候補地が決まるミュンヘンのIOC総会にも付いていった。

<メキシコへの恩返し>

 東京オリンピック招致の際、メキシコのIOC委員から
「東京オリンピックを喜んで支持する。ついては、私たちもオリンピックを招致することを考えている。そのとき、日本は助けてくれるか?」
と和田さんは問われ、支援を快諾する。そして1968年、メキシコ・シティーでラテンアメリカ最初のオリンピックが開催された。

<恩返しは終わっていない>

 和田さんはロサンゼルスオリンピックでの日本選手団や日本スポンサーのために働くなど日本スポーツ界に多大な貢献をして2001年、亡くなった。
 しかし、私たち日本人はまだ、東京オリンピックの借りがある。南米のオリンピックがまだなのだ。

1959年、和田夫妻はベネズエラの首都カラカスを訪問した。ベネズエラのIOC委員、ブスタメンテ体育局長に会い、東京を支持してくれるよう依頼した。
和田さんは言った。

メキシコシティであれ、カラカスであれ、中南米でオリンピックを開催するときは、日本は全力で支援することをお約束します。オリンピックの開催地が北米大陸と欧州大陸に偏在している事は五輪の精神にもとると思います
『祖国へ、熱き心を』より

和田さんはブラジルでは、日本人会のバックアップを受けた。当時の金で2,000ドルの募金が始められた。

そして、中南米諸国の後押しで、1964年のオリンピック東京開催が決まった。



<「俺が、俺が」からバックアップする日本人へ>
 今回、リオ・デ・ジャネイロが2016年のオリンピック招致に立候補した。東京も立候補している。私は、日本には、リオを応援してほしい。敗戦後まもない、アジアの片隅の国をこぞって支持してくれた恩に答えてほしい。
続きを読む >>
| 中落合中太郎 | 高杉 良 | 06:18 | comments(0) | - | pookmark |
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
  • 超能力新聞記者があふれる日本のマスメディア-『ジャーナリズム崩壊』上杉隆(幻冬舎新書)
    憂国 (01/21)
  • 超能力新聞記者があふれる日本のマスメディア-『ジャーナリズム崩壊』上杉隆(幻冬舎新書)
    (07/23)
  • 北カリフォルニアのミカン畑に行く。<湯葉シティYuba CityのKenzo Sushi>―おふくろ様カルフォルニアご親戚訪問同行記その7
    中落合中太郎 (09/23)
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE